大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和29年(オ)210号 判決

主文

原判決を破棄する。

本訴各請求を棄却する。

本訴訟の総費用及び被上告人(原告)補助参加人の参加によつて生じた訴訟費用は上告人の負担とし、各上告人(被告)補助参加人の参加によつて生じた訴訟費用は当該上告人補助参加人の負担とする。

理由

職権で調査するに、本件係争の各選挙においてそれぞれその当選人となつた島原市長中岡秀蔵及び島原市議会議員の全員が、昭和三〇年四月二日いずれもその職を辞し現在その職にないことが認められる。されば本件各選挙の無効確認を求める請求はいずれも訴の利益なきに帰したものというべく本訴各請求は棄却せざるを得ない。それ故本案につき判断を与えた原判決は破棄を免れない。(なお上告人補助参加人の訴訟代理人名嘉真武勝は本件市長の選挙については、別途訴外森田松三郎外二名より無効確認の訴が福岡高等裁判所に提起され、現に同庁昭和二六年(ナ)一八号事件として繋属している。本件市長の選挙無効の訴は右訴の後に重ねて提起されたものであるから不適法として却下せらるべきものであると主張するけれど、その主張自体によるも本訴は前記訴とは当事者を異にし別訴訟であるから、いわゆる二重の提訴ということはできない。)

よつて民訴四〇八条、九六条、九四条、八九条、九〇条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例